カエルン師匠のグラレコ道場

― 指導者のみなさまへ ―
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グラレコ☆チャレンジの準備と受験方法~指導者のみなさんへ

指導者の皆様へ

グラレコ☆チャレンジは、子どもたちがグラフィックレコーディングのスキルを測定するためのものです。ここでは、スキルレベルの向上を目的としていません。30分程度の時間があれば受験と評価を完了できます。

重要なポイント

ビジュアルファシリテーションやグラフィックレコーディングにおいて、絵を描きながら他の行動をする「ながら描き」がもっとも重要です。この技術は、作業の速さ、見やすさ、美しさを向上させます。以下の順序に注意してください:

  1. 絵を描きながら他の行動をする
  2. 作業の速さ、見やすさ、美しさを向上させる

たとえば、中華料理のシェフがチャーハンを作る際、両手を動かす訓練から始め、その後手の動きを洗練させます。ビジュアルファシリテーションやグラフィックレコーディングの学習も、まずは「ながら描き」をマスターすることから始めます。

グラレコ☆チャレンジとは

グラレコ☆チャレンジは、ビジュアルファシリテーションやグラフィックレコーディングのスキルレベルを客観的に測定するものです。通常の図画工作や美術の授業では主観的な評価が行われますが、ここでは「ながら描き」の能力を測定します。制限時間内にお手本を正確に描くことが求められます。他の人との会話を交えながら作業を行うことが推奨されています。

ビジュアルファシリテーターが黙って作業をするのは不自然です。話しながら描くことで、時間効率が向上し、他の効果も期待できます。

事前準備

準備する道具

日々の「ながら描き」練習に役立つアイテムを以下に示します。個人での購入を検討してみてください。

  • : A4サイズのコピー用紙が適しています。
  • ペン:
    • 主線用ペン(マーカー): ゼブラ/水性マーカー 紙用マッキー極細 P-WYTS5-BK 黒
    • いずれか1本必須: 三菱鉛筆/プロッキー極細 黒 線幅 細字0.9 mm 極細0.4mm品番:PM120T-24
    • 影用マーカー: ゼブラ/蛍光ペン マイルドライナー ダークブルー B-WKT7-MDB
    • 彩色用マーカー: ゼブラ/水性ペン 紙用マッキー 15色 WYT5-15C 太細
    • 三菱鉛筆/水性ペン プロッキーツイン 15色 PM150TR15CN

影用マーカーは1本あると便利です。お手本がカラーであっても、この1本で色付けが可能です。彩色用マーカーは必須ではありませんが、オススメの色としてライトブルー、ライトグリーン、黄、オレンジ、ピンク、赤紫、ペールオレンジ、ブラウン、グレーの9色が挙げられます。

お手本

以下のお手本をA4横で印刷します。できればカラー印刷にします。

お手本と制限時間

制限時間内に完成させることが求められます。制限時間は12分です。これは私がお手本を描くのにかかった時間です。

測定のルール

正確な測定を行うためには、以下のルールを守ってください:

  • 制限時間が経過したら、必ずペンを置くこと。
  • 時間内にすべてを描ききることを優先する。
  • お手本はディスプレイに表示されたものを使用せず、拡大縮小せずに描く。
  • デジタルデバイスを使用せず、見たままのサイズで描く。
  • お手本に紙を重ねてなぞらない。
  • 最初に大まかな位置を決めるアタリをつけずに描く。
  • かく順番は、左上から右下に向かって描く。
  • かいている間は口角を常に上げること
    • 指導者は受験者を観察し口角が下がっていたら指摘すること
  • かいている間はたえず何らかの言葉を発していること
    • 指導者は受験者を観察しだまっていたら、なにか話すように促すこと

「ながら描き」の能力は、「時間内にどれだけ丁寧に描けたか」で測定されます。
なお、評価方法は別の文書がありますのでそちらを参考にしてください。

「ながら描き」に慣れるには

システム1の活用

「ながら描き」では、システム1を活用することで、速く丁寧に描くことが可能です。ダニエル・カーネマンの「ファースト&スロー」におけるシステム1は、無意識で自動的な決定を行う速い思考を意味します。たとえば、自転車を運転する際には、手足の動きを意識せずに行います。

速く丁寧に描くコツ

「考えるな!感じろ」というブルース・リーの言葉にあるように、お手本を理解しようとせず、反射神経のように形を再現することが重要です。システム2を使って内容を理解しようとすると、「ながら描き」はできません。厳しい時間制約の中でお手本の形を描く練習を通じて、システム1への変換が可能です。

「ながら描き」能力の向上

「ながら描き」の技術を高めるためには、以下のステップを実践してください:

  1. 時間内に完成させることを優先し、仕上がりの美しさは二の次にする。
  2. 自身が苦手とする要素を特定し、それらに対する丁寧さを向上させる。
  3. 日常生活でメモやノートを取る際に、苦手な要素を意識して多く描く。
  4. 月に1回のペースで進歩を確認する。(グラレコ☆チャレンジは練習ではありません。1か月以上あけて実施するようにします)